19.06.12
近藤先生の「医学研修~在宅での緊急対応について~」レポート
大橋サービスでは医学や介護の研修を毎月開催しています。
内容は医学知識、認知症、介護実技など。
今回は訪問看護師としての経験が豊富な近藤真名美先生による医学研修
テーマは「在宅での緊急対応について」。
緊急対応が求められる時の知識と一次対応について実習を交えて教えていただきました。
高齢者に多い急変について知る前に、最近の日本人の死因の上位に変化があったこと、ご存知ですか?
少し前までガン、心臓病に続いて死因の第3位だった肺炎が脳血管疾患に次いで第4位になったそうです。誤嚥性肺炎が高齢者の死因として知られるようになってから予防接種を受ける方が増えたことも影響しているのでしょうか。ちなみに第5位は老衰。今後ますます老衰が増えてくるとよいですね、と先生。健康で長生きして自然な最期を迎えることは誰もが望むことですね。
さて、研修ではまず高齢者に多い骨折について。
一番は大たい骨、次に多いのが手のひらや手首。転倒した際に地面に手をついて骨折してしまうケースで骨粗しょう症の人に多くみられるそうです。どちらも動かさないようにして救急車を待つか、病院に連れて行きますが、今回は手の骨折の固定方法を実習しました。三角巾があれば90度の部分を肘に合わせて固定し、肩に長辺を回してキュッと結んで動かないように。三角巾がない場合はバスタオルを2枚使って腕を体に密着させて動かないようにします。バスタオルならどの家庭でもすぐに用意できるので、このやり方を覚えておけば安心ですね。
その他、三角巾は怪我の応急処置だけでなく、災害時にも使えるということを近藤先生が実演してくださいました。自宅にいるときに地震にあって靴が手元にない状態で避難する場合に足を三角巾で覆って即席の靴代わりにする方法。非常持ち出し袋に2枚入れておくのもよいですね。
緊急対応の実習その2ではやはり高齢者に多い誤嚥や誤飲の対応をおしえていただきました。
食べものや飲み物が食道を通らずに気管に入ってしまう誤嚥を防ぐには、誤嚥体操や食事の際の注意も大切です。誤嚥体操で刺激を与えて唾液の分泌を促したら、食道がまっすぐになるように足を床につけて深く座った体勢で食事を始めます。 食事にあらかじめトロミを付けて食べやすくしておくことも誤嚥を防ぐために有効です。食事が終わったら口腔ケアを忘れずに。唾液が誤嚥性肺炎の原因になることもあるからです。 これらの基本を復習した上で、食べ物を詰まらせた際の対応の実習にうつります。
食べものを詰まらせた場合は 背部叩打法 腹部突き上げ法(ハイムリック法) で食べ物を吐き出させます。この2つの手法を2人1組になって、実際にやってみました。背部叩打法 ではかなり強く肩甲骨の間をたたきますが、実際にやってみないと感覚がわからないだろうなと思いました。
今回は高齢者の体調の変化やそれに伴って増えてくる疾患や症状について学びながら、緊急時の対応を具体的に教えていただいたので、在宅での勤務中にご利用者様が急変した場合でも落ち着いて対応する自信がついたのではと思います。
災害と同じく急な場面でも慌てないように日常的に備えておくことが大事だとあらためて感じました。
今後も近藤先生の医学研修は定期的に開催予定。次回のテーマは「在宅での記録の取り方と服薬管理について」。
ぜひ多くの方に参加いただきたいと思います。